現地報道

15.06.17 現地各紙

5月14日〜6月11日におけるイラク情勢(内政,外政,治安,経済)に関する報道取りまとめ

  1.  5月14日〜21日におけるイラク情勢(内政,治安,外交,経済)に関する報道取りまとめ以下のとおり。

    1 内政
    【ポイント】
     国民議会では,国家警備隊創設法案の第二読会が終了するも,未だ政治各派間の合意形成には至っていない。ラマーディー市陥落の責任をアバーディー政権に帰する非難の声が,スンニー派政党からも強まっている。

    ●アバーディー首相,マァスーム大統領及びジュブーリー国民議会議長は三者会談を開催。アーザミーヤにおけるスンニー派民家への放火事件を非難し,いかなる国民和解に反する試みに対しても断固として対処すること,及び国民の結束を求めた(16日付サバーハ紙)。
    ●閣議は19日,アンバール県における戦闘に関する声明を発出。イラク軍,特にアンバール県での軍事作戦に従事する軍の兵士数不足を補うため,イラク軍への更なる志願兵の呼びかけや,同県との調整の下でイラク政府が地元部族の武装と彼らの雇用に関する責任を負うことを確認(20日当地各紙)。
    ●国民議会は20日,国家警備隊法案の2回目の第二読を終了。また55名の議員の署名を集めたヌジャイフィ・ニナワ県知事解任を求める要望書をジュブーリー国民議会議長は受理(21日付当地各紙)。

    2 外交
    【ポイント】
     ラマーディー市陥落(17日)後,米国及びイランは即座に対応を見せ、テロとの闘いにおけるイラクへの支援を強化する旨,アバーディー首相に直接伝達。

    (1)中央政府
    ●マァスーム大統領は14日,イランへの公式訪問を終了し,イラクに帰国(16日付サバーハ紙)。
    ●バイデン米副大統領は15日,「ア」首相との電話会談にて,更なるイラク政府への軍事支援を約束(17日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●ジョーンズ駐イラク米国大使は16日,今後数ヶ月でF-16戦闘機がイラクに供与されること,イラク中央政府の承認なしにはスンニー派部族やペシュメルガに対し,直接の兵器供与支援は行わないことを強調(17日付サバーハ紙)。
    ●「ア」首相は17日,オースティン米中央軍司令官及びジョーンズ駐イラク米国大使と会談。対ISIL作戦,アンバール県やベイジにおける戦況の最新情勢につき意見交換。その際,米側は空軍支援,軍事訓練,兵器供与支援等につき言及した(18日付ザマーン紙)。
    ●「ア」首相は18日,イラン国防大臣と会談し,治安・軍事・対ISIL戦闘における更なる二国間協力につき協議(19日付サバーハ紙)。
    ●イラン国防大臣は,マァスーム大統領,ジャアファリ外相,ガッバーン内相とそれぞれ会談し,経済,貿易,テロとの闘いにおける二国間協力につき協議(20日付サバーハ紙)。
    ●オバマ米大統領は,国家安全保障会議における発言で,スンニー派部族への兵器供与決定,更なる志願兵の募集及びラマーディー市解放に向けた新たな軍事作戦の策定といったイラク政府の取組を歓迎。また米国も,対イラク及びシリアにおける軍事戦略の見直しを行う旨,スンニー派部族及びイラク軍への兵器供与につき早期に検討する旨発表(当地各紙)。
    (2)クルディスタン地域政府(KRG)
    ●バルザーニーKR大統領は14日,オランダ国防相と会談し,テロとの闘いでの協力につき協議(16日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●バルザーニーKR大統領は18日,オースティン米中央軍司令官と会談し,最新の治安情勢につき協議(19日付タァーヒー紙)。

    3 治安
    【ポイント】
     15日夜に開始されたISILによるラマーディー市への大規模攻撃に関する報道が大々的に報じられている。アンバール県での戦況に加え、サラーハッディーン県ベイジ市におけるISILとの戦況も日々報じられている。

    ●15日夜,ISILはアンバール県ラマーディー市への大規模な襲撃を行い,行政庁舎を含む市中心部を制圧した模様(16日付当地各紙)。
    ●「ア」首相は公的動員勢力(PMU)幹部との協議にて,ラマーディー市解放作戦にPMUも参加するよう命令(18日付当地各紙)。
    ●アンバール県地方評議会は17日,シーア派民兵及びPMUが同県解放作戦に参加することを許可する決議を採択(18日付マダー紙)。
    ●イラク治安部隊はベイジ市半分を既に解放し,ベイジ製油所に向け進軍(18日付当地各市)。
    ●オベイディ国防相は,ラマーディー市から東部のハッバーニーヤ基地に向け,PMU幹部も含め,続々と増援部隊が到着しており,ラマーディー市解放作戦の準備を行っている旨発表(19日付当地各紙)。
    ●ラマーディー市中心部の制圧に成功したISILは,バグダッド県を目指し東方に侵攻を試みたが,防衛線を築いたイラク軍によって反撃を受け,ラマーディー市中心部に向け撤退を開始している模様(21日付サバーハ・ジャディード紙,マダー紙)。

    4 経済
    【ポイント】
     中央政府とKRGの間で,見解の相違はありながらも,原油輸出合意を巡る協議は続いている。JICA理事長のイラク訪問や当館館員のバスラ訪問もあり,日本の経済協力への期待感が表明されている。

    ●13日,エルビルで,ネチルヴァンKRG首相は,田中JICA理事長及び梨田駐イラク日本大使の訪問を受け,エルビルはじめKR各県での上下水プロジェクト実行に要する資金その他について協議し,JICA及び日本側に対して,現在の各プロジェクトや人材教育プログラムを継続し,KRにとって重要なインフラの強化などに向けて,今後とも日本の経験を生かした支援を継続することを要請(16日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●連邦政府のハディースィー報道官は,先のアブドゥルマフディー石油大臣のエルビル訪問に関連して,「連邦政府(バグダッド)は,今後ともエルビルとの原油輸出合意を遵守する。石油大臣のエルビル訪問は,現在の合意についての交渉を続けていくためである。」と述べ,エルビルと新たな合意を結ぶ必要はないと説明。また,4月にはバグダッドは日量45万バレルしかイラク北部の油田から原油を受け取っておらず,それは原油輸出合意の日量55万バレルに満たないとも述べた。一方で,KR側は4月には日量56.2万バレルをバグダッドに渡したと発表している(16日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●ナスラーウィー・バスラ県知事は19日,在イラク日本大使館の三宅公使参事官と面談し,日立製作所をはじめとした日本企業の抱える問題について協議した。知事は,著名な日本企業の存在は県にとって重要であり,地域の雇用の進展につながることを要望する,と述べた(21日付サバーハ紙)。
  2.  5月23日〜28日におけるイラク情勢(内政,治安,外交,経済)に関する報道取りまとめ以下のとおり。

    1 内政
    【ポイント】
     国民議会では,国家警備隊創設法案の第二読会が終了するも,未だ政治各派間の合意形成には至っていない。政党法案や連邦裁判所法案等のその他重要法案についても、審議に特段の進展はみられない。

    ●ナジャフのマルジャイーヤ代理人アフマド・サーフィー師は22日の金曜礼拝におけるスピーチにて,ラマーディー陥落を招いた無能な軍幹部の更迭を含む治安組織の早期の改革を要請(23日付当地各紙)。
    ●イラク勢力連合(スンニー派政党連合)は27日,アバーディー政権が政党間で合意された政府計画を履行していないとして,同政権からの脱退の可能性を示唆した(28日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●ディヤーラ県地方評議会は26日,ムサンナー・タミーミー氏(元バドル機構国会内代表,シーア派政党連合「国民同盟」に所属)を新ディヤーラ県知事に選出(28日付サバーハ・ジャディード紙)。(当館注:「タ」新知事の前任者は,マジュマーイ氏(スンニー派,イラク勢力連合所属(IFA))。政党間合意では,同県知事にはIFAから人選がなされることとされており,「タ」新知事の選出には,IFAより激しい反発もあった。)

    2 外交
    【ポイント】
     ジャアファリ外相はGCC外相会議のためクウェートを訪問。また、28日にはアティーヤ・カタール外相のイラク訪問が予定されるなど、イラク外交は依然活発。

    (1)中央政府
    ●アバーディー首相はロシアにてプーチン大統領と会談し,経済・軍事面における二国間協力を協議(23日付当地各紙)。
    ●アッラーウィー第三副大統領は,アンマンにてシーシー・エジプト大統領と会談(23日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●カーター米国防長官は,イラク軍にはISILとの戦闘する意志がないと,イラク軍の士気の低さを批判。他方で米国からのイラク政府に対する対テロ戦闘での支援は継続する旨強調(25日付イッティハード紙)。
    ●「ア」首相は25日のインタビューにおいて,カーター米国防長官の発言に対する遺憾の意を表明すると共に,イラク軍は今後数日でラマーディー市を解放出来ると述べた(26日付当地各紙)。
    ●ジャアファリ外相は、イスラーム協力機構(OIC)事務局長と会談し、国民和解のためのメッカ会議の開催につき協議(26日付ザマーン)。
    ●サバーハ・クウェート皇太子は,クウェートで開催されているGCC外相会議において,イラク政府の対テロ軍事作戦への支持を表明(28日付当地各紙)。
    (2)クルディスタン地域政府(KRG)
    ●KR大統領府声明によれば、バルザーニーKR大統領はヨルダンにて開催された経済フォーラムに参加し,アブダッラー国王と会談。テロとの闘いを含めた,二国間協力につき協議(23日付サバーハ・ジャディード紙)。

    3 治安
    【ポイント】
     イラク軍,PMU及び地元部族による合同部隊は26日,アンバール解放作戦の開始を表明。アンバール県及びサラーハッディーン県における戦闘は継続。

    ●オベイディ国防相は22日,ラマーディー奪還作戦の準備状況視察のため,ハッバーニーヤ基地及びハーリディーヤ市を訪問(23日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●アーミリーPMU司令官(バドル機構事務局長)は23日,アンバール県での大規模軍事作戦に伴い,バグダッド近郊の治安措置も見直しの上強化されている旨述べ,ラマーディー陥落を招いた軍幹部の処罰を求める旨発表(24日付当地各紙)。
    ●オベイディ国防相は23日,ハッバーニーヤ基地東部の防衛ラインは強固であり,ハーリディーヤ地区から西部4キロ地点にてISILの侵攻を食い止め,同地区の治安確保に成功した旨発表(24日付当地各紙)。
    ●イラク軍、PMU及び地元部族の合同部隊は,ラマーディー市東部のフセイバ地区の解放に成功(24日付当地各紙)。
    ●オベイディ国防相は25日,今後数週間でロシアより数十台の装甲車や重装トラックの提供を受ける旨明らかにした(26日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●イラク軍は,ISILの物資搬入ルートを遮断するため,サラーハッディーン県とアンバール県における作戦を開始(26日付サバーハ紙)。
    ●平和旅団(サドル派民兵)は,イスハーキー地区(サーマッラー市から南東に位置)における戦闘で,150名のISIL要員の殺害に成功(26日付イラキーヤTV)。
    ●イラク軍,PMU及び地元部族による合同部隊は26日,アンバール解放作戦の開始を表明。アバーディー首相からは,ベイジ市における戦闘の勝利を賞賛すると共に合同部隊がラマーディー市に向け進軍を見せており,アンバール県全土の解放も時間の問題とした(27日当地各紙)。
    ●アサディーPMU報道官は26日,サラーハッディーン県及びアンバール県解放のための大規模作戦(ラッバイカ・ヤーフセイン作戦の開始を宣言。同作戦には,PMU,対テロ特殊部隊,連邦警察,イラク軍及び4000名のスンニ-部族により構成される合同部隊が参加する(27日当地各紙)。
    ●合同部隊司令官は27日,作戦名を「ラッバイカ・ヤーイラク(「イラクの声に応えて」の意)」に変更した旨表明(28日付サバーハ・ジャディード紙)。

    4 経済
    【ポイント】
     4月の石油輸出量は全体で9230万バレル,その収入は47億9100万ドル,1バレル当たりの平均価格は51.909ドルであった(収入額は,3月の44億7700万ドルを上回り,今年最高となった。)。
     クルディスタン地域政府(KRG)と連邦政府との原油輸出合意についての交渉は依然継続中。
     
    ●ロシア訪問中のアバーディー首相は,ルクオイル,ガスプロム,及びソユーズネフテガス社の代表と会談した(23日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●石油省の発表によると,4月の石油輸出量は全体で9230万バレル,その収入は47億9100万ドル,1バレル当たりの平均価格は51.909ドルであった。うち南部からの輸出が7880万バレル(収入40億4100ドル),北部の油田からジェイハン港を通じた輸出が1350万バレル(収入7億5000万ドル)となった。(24日付アダーラ紙及びマダー紙)
    ●イラン国営ガス公社(NIGC)によると,イランは6月からイラクへの天然ガス輸出を開始する。輸出量は日量4000万立方メートルで,バグダッド及びバスラ県に運ばれる。また,バスラ県エネルギー委員会議長は,「同委員会は日量4000〜5000立方メートルのガス輸入プロジェクトについてNIGCと協議した。これらの天然ガスはナジビーヤ,ルメイラ及びシャット・アル・バスラの発電所に供給されることになる。」と述べた(24日付サバーハ・ジャディード紙及びサバーハ紙)。
    ●対イラク円借款事業「港湾整備計画(第二期)」のホール・アルズベール港整備事業について,運輸省は日本工営とコンサルタント契約を締結した(25日当地各紙,国営イラキーヤTV)。
    ●クルディスタン地域政府(KRG)計画省は,連邦政府による予算分配が滞っていることがクルディスタン地域の経済に大きな影響を与えている,現在KRGは連邦政府との原油輸出合意の修正について交渉しているところである旨述べた(25日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●24日,電力省は仏アルストム社と,400KVの発電所をバグダッドで建設する契約に署名した。同省によると,本事業の費用は4300万ユーロで期間は2年(25日付サバーハ紙)。
    ●25日,ズィーバーリー財務大臣と長岡駐イラク臨時代理日本大使は,2件の円借款事業(電力及び下水)の交換公文に署名した(26日及び27日付当地各紙,国営イラキーヤTV)。
    ●アブドゥルマフディー石油大臣は,「KRGとの間の原油輸出合意は順調に履行されており,ここ数日間は輸出量が日量70万バレルに達している。連邦政府はKRGとの合意を尊重する所存でありKRへの分配金は送金する。」と述べた(28日付ザマーン紙,アダーラ紙)。
  3.  5月30日〜6月4日におけるイラク情勢(内政,治安,外交,経済)に関する報道取りまとめ以下のとおり。

    1 内政
    【ポイント】
     イラク議会は5月末で今会期を終了。次会期はラマダーン明け休暇以降(7月中下旬以降)に開催される予定。国家警備隊法案等の主要法案については,特段特筆すべき進展はなかった。

    ●イラク国民議会は28日,アスィール・ヌジャイフィー・ニナワ県知事の更迭を承認(30日付サバーハ紙)。
    ●国民議会は30日,改正旅券法及び民間医療機関法を採択し,今会期を終了。主要法案である国家警備隊法案や連邦裁判所法案等に関しては,次会期まで持ち越しとなった(31日付当地各紙)。
    ●アバーディー首相は「イラキーヤTV」とのインタビューにて,イラクは現在,厳しい経済危機,兵器の不足に直面している旨,ISILとの戦闘に実際に参加していない部族に対し兵器を供与する訳にはいかない旨,中東地域におけるサウジとイラン間の争いにイラクが巻き込まれることはない旨等,発言(6月1日付当地各紙)。

    ●「ア」首相,マァスーム大統領及びジュブーリー国民議会議長は1日,三者会談を開催し,スンニー派部族への兵器供与の必要性,解放地域における復興政策の必要性につき強調(2日付イッティハード紙)。

    2 外交
    【ポイント】
     アバーディー首相は対ISILコアリション少数国会合出席のため,フランスを訪問。ジャアファリ外相やジュブーリー国民議会議長も外遊を行うなど,相変わらず活発な外交を展開。

    ●アティーヤ・カタール外相は29日,バグダッドにて,マァスーム大統領,アバーディー首相及びジャアファリ外相とそれぞれ会談(30日付サバーハ紙)。
    ●長岡臨代は,カルバラー市を訪問。対ISILとの闘いにおけるイラク政府への支持を表明するとともに,これまでの日本からの人道支援につき説明(30日付サバーハ紙)。
    ●アレン・コアリション特使は30日,「ア」首相と会談し最新の治安情勢につき意見交換(6月1日付サバーハ紙)。
    ●ジャアファリ外相は在ドバイ・イラク総領事館の開設式典に参加し,UAEとの二国間関係の重要性を強調(2日付サバーハ紙)。
    ●「ア」首相は,パリで開催された対ISILコアリション少数国会合に参加。
    ●「ジュ」国民議会議長は2日,バチカンを訪問。その後,IDP支援と解放地域復興のための国際会議出席のため,ブリュッセルに向かう(3日付サバーハ紙)。
    ●サウジは,在イラク・サウジ大使にサーミル・サブハーン氏を任命(3日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●ニュージーランド国防相は2日,バグダッドを訪問(3日付アダーラ紙)。
    ●ブラジルを訪問中のジャアファリ外相は,ブラジル側の外相,副大統領,国防相とそれぞれ会談し,二国間関係につき協議(4日付サバーハ紙)。

    3 治安
    【ポイント】
     イラク軍,PMU合同部隊(一部ではスンニー派部族も含む)は,ラマーディー市包囲網を強化するとともに,サラーハッディーン県及びアンバール県間地域での掃討作戦も強化。ISILはムサンナー基地への大規模な自動車爆弾テロやラマーディー・ダムの水門閉鎖でこれに対抗。

    ●イラク軍は,サーマッラー市からサルサール半島地域の解放を進めている(30日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●ISILは,モースル市住民の県外への移動を禁止し,住民を人間の盾として使用しようとしている(30日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●バグダッド市内のイシュタール・ホテルとバビロン・ホテルにおいて自動車爆弾テロが発生。ISILが犯行声明を発出(30日付マダー紙)。
    ●イラク軍,PMU及び地元部族の合同部隊は,北部,南部,東部の三方面からのラマーディー市包囲網を強化(31日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●PMUとイラク軍合同部隊は,ベイジ市内に進入。同市周辺の町村の解放を進めている(31日付サバーハ紙)。
    ●イラク軍は,アンバール県とサラーハッディーン県間の砂漠地帯における軍事作戦で,多くの町村の解放に成功(1日付サバーハ紙)。
    ●アーミリーPMU司令官はインタビューにて,イラク軍の作戦ではラマーディー奪還は不可能であり,PMUが指揮する作戦でのみそれは可能であると述べ,また米国による空爆がむしろISILをサポートしているとし米国の対イラク政策を非難(2日付マダー紙)。
    ●ISILによるムサンナー基地(サラーハッディーン県サルサール半島地域)への自動車爆弾テロにより,50名以上のイラク軍兵士が死亡(2日付イッティハード紙)。
    ●ISILはラマーディー市近郊のダムの水門を閉鎖(3日付当地各紙)。
    ●ISILはユーフラテス川の水量をコントロールすることで,ハーリディーヤ市(ラマーディー市から東方)への水攻めを図っている(4日付マダー紙)。

    4 経済
    ●ズィーカール県議会エネルギー委員会委員長は,日本の円借款による400KVの変電所の建設を開始する旨発表した。(31日付サバーハ紙,サバーハ・ジャディード紙)
    ●石油省は,イラクの原油生産量は2015年末までに日量400万バレルに達するだろうと発表した。(1日付サバーハ紙)
    ●経済閣僚委員会は,外国からの借入れや公債に関して会合を行った。シャーウィース副首相,財務大臣等が出席した。(2日付ザマーン紙)
    ●石油省は1日,5月の原油輸出量は日量315万バレル,原油収入は50億ドルに達したと発表した。このうち,南部からの輸出量は日量269万バレル,北部からの輸出量は日量45万バレル。(2日付各紙)
    ●石油省のスポークスマンは,バスラの随伴ガス回収プロジェクトに関して,シェルと三菱は現在の日量5.6億立方メートルから2018年に日量20億立方メートルに増加すべく更なる投資を行うだろうと述べた。(2日付マダー紙)
    ●KR議会は2日,50億ドルの外国からの借入れをする権限をKRGに付与する法案を可決した。KR議会の議員によると,この借入れはKR議会の承認を得たプロジェクトに割り当てられることになる。(3日付マダー紙)
    ●KRG天然資源庁は3日,KRのパイプライン経由でトルコのジェイハン港に輸出する5月の原油輸出量は日量58万バレルに達したと発表した。このうち,KRGによる採掘は日量41万バレル,NOCによる採掘は17万バレル。5月のKRGからSOMOへの引き渡し量は,日量45万バレル(4月に運搬され,カウントされなかった134万バレルを含む。)であった。(4日付マダー紙)
  4.  6月6日〜6月11日におけるイラク情勢(内政,治安,外交,経済)に関する報道取りまとめ以下のとおり。

    1 内政
    ●ナジャフ・カルバラーの宗教権威代理人は5日の金曜礼拝におけるスピーチにて,夏期休暇を利用して学生も兵器の扱い方を学ぶ軍事訓練に参加すべきであるとの見解を示した(6日付マダー紙)。
    ●ネチルヴァンKRG首相は5日,ドホーク県のRixosホテル開業式典におけるインタビューにて,バグダッドとの懸案事項の交渉による解決が最優先事項であるが,仮に連邦政府が同問題解決に真剣な姿勢を示さなければ,他の手段をとることも検討せざるを得ないとした(7日付)。
    ●ハキームISCI議長は7日,彼自身が主導する「イラク市民のための平和イニシアティブ」に関連しコメントし,この取組は国民和解に向けた企画であり,スンニー派部族を含むすべてのイラク社会構成要素が参加出来るものであると発言(8日付アダーラ紙)。
    ●内務省は35名の更迭を発表。
    ●マァスーム大統領は10日,クルディスタン地域(KR)スレイマーニーヤ県にてタラバーニー前大統領(現PUK党首)と会談。先のトルコやイランへのマァスーム大統領の外遊の結果等につき報告がなされた模様(11日付イッティハード紙)。

    2 外交
    ●欧州訪問の一環でブリュッセルを訪問中のジュブーリー国民議会議長は,EU議会議長と会談し,これまでのEUからの人道支援に対し謝意を表明するとともに,更なる協力を要請(6日付サバーハ紙,サバーハ・ジャディード紙)。
    ●クウェートはエルビル市に領事館を開設することを決定(7日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●バルザーニー大統領は,トルコにおける総選挙においてクルド系政党が躍進したことに関し,好ましいニュースであると発言(9日付マダー紙)。
    ●アバーディー首相は8日,G7サミットに出席した際,オバマ米大統領,キャメロン英首相と会談。
    ●アッラーウィー第3副大統領は9日,ロンドンにて英外相と会談(10日付ザマーン紙)。
    ●独でのG7サミットへの参加を終えた「ア」首相は,独,英,米及び日本の首脳と会談したことに触れ,各国より軍事分野や諜報分野における支援等につき関心が示された旨発言(11日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●「ア」首相とオベイディ国防相は10日,イラク訪問中のオースティン米中央軍司令官と会談(11日付イッティハード紙,サバーハ・ジャディード紙)。
    ●ホワイトハウスは10日声明にて,米国が更に450名の軍事顧問を派遣する旨決定したことを発表。同顧問団はラマーディー市から東方のタカッダム基地に派遣される予定。

    3 治安
    ●800名のイラク軍増援部隊が,ラマーディー市郊外に到着(6日付マダー紙)。
    ●地元部族の証言では,コアリションによる空爆で,PMUの軍服を着て逃走しようとしたISIL要員一団が殺害された模様(6日付サバーハ紙)。
    ●スウェーデンは,新たに25名の軍事顧問をKRに派遣(6日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●ニナワ県軍事作戦司令部参謀少将は6日,モースル解放に向け準備していた部隊の一部を,ベイジ区北部解放作戦に参加させる旨発表(7日付サバーハ紙)。
    ●イラク軍は,激しい交戦を経て,サルサール・ダムの解放に成功。ファッルージャ市から東方のカルマ市の7つの町村解放に成功(8日付サバーハ紙)。
    ●PMU報道官は,ベイジ区の次の主たる戦闘は,シャルカート市になると発言(9日付マダー紙)。
    ●イラク国防省は,米国より対装甲車ミサイルAT-4を受領した旨発表(9日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●イラク軍は,ISILによるアーミリヤット・ファッルージャ市庁舎への自爆攻撃を阻止(10日付イッティハード紙)。
    ●ガッバーン内相は,治安部隊の準備状況視察のため,ハッバーニーヤ基地を訪問(11日付サバーハ・ジャディード紙)。

    4 経済
    ●アブドゥルマフディー石油大臣は,ウィーンで開催されたOPEC総会のマージンでBP代表と会談し,ルメイラ油田の開発について協議した。また,ルクオイルの代表とも会談し,同社が現在開発を進めているウエスト・クルナ2の油井拡大のための合同会社の設立について協議した。同大臣は,ルクオイルとの共同プロジェクトはイラクにとって優先事業であり,同社との協力は順調であるところ,今後も契約を継続していきたい,と述べた(6日付ザマーン紙)。
    ●国民議会石油・エネルギー委員会のラザク・メフビス議員は,「政府では,ガドバーン首相府顧問会議議長を長とする委員会が石油・ガス法案の作成を進めており,この作業はまもなく終了する。同法案が作成されたら,政治勢力間の協議が行われ,その後法務当局の審査が行われる」と述べた(7日付マダー紙)。
    ●5日,IMFは油価の下落とISILとの闘いによる経済危機への対処のために,イラクに対する8億3300万ドルの支援を発表した(7日付各紙)。
    ●ネチルバンKRG首相は,「連邦政府は石油に関する合意を遵守していないほか,4月のKRに対する予算割当ての10%削減を決定した。また,ペシュメルガに対する支援約束も遵守していない。アバーディー首相とこれらの問題を解決するために協力していきたい。」と述べた(8日付サバーハ・ジャディード紙及びザマーン紙)。
    ●7日に発表された石油省報告によると,イラク中南部における原油生産は日量339万1千バレルに達し,北部での生産と合わせると総計390万バレルに達する見込み。また,アブドゥルマフディー石油大臣は,原油貯蔵タンクは,昨1月の17施設から現在は42施設まで増加した,と述べた(9日付ザマーン紙)。
    ●メゼイル首相経済顧問は,「現在IMFと政府の間で45億ドルの融資について協議が行われている。また,世銀からも20億ドルの融資を受ける予定である。」と述べた(9日付サバーハ紙)
    ●ズィーバーリー財務大臣は米財務省のダニエル・グレーザー次官補と会談し,ISILの資金源を断つための厳しい措置をとることの重要性について協議した(11日付サバーハ紙及びアダーラ紙)。

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