現地報道

15.04.11-12 現地各紙

4月4日〜5月12日におけるイラク情勢(内政,外政,治安,経済)に関する報道取りまとめ

  1. イラク情勢(4月11日〜4月16日:報道取りまとめ)
    4月11日〜4月16日におけるイラク情勢(内政,外政,治安,経済)に関する報道取りまとめ以下のとおり。

    1 内政
    ●アバーディー首相は10日,ナジャフにて宗教権威シスターニー師及び他の宗教指導者達と会談(11日付サバーハ紙)。
    ●「ア」首相は10日,公的動員(PMU)幹部一行と会談し,ティクリート等での勝利を賞賛した。また報じられている解放地区での人権蹂躙行為は,ISILシンパによるものであり,PMUは何ら責任を負わないと主張(11日付サバーハ紙)。
    ●金曜礼拝での声明にて,ナジャフ等の宗教権威は,ISILに対する最近の勝利を賞賛すると共に,対テロ作戦に参加する兵士への給与の支払いを求めた(11日付サバーハ紙)。
    ●マァスーム大統領は13日,バルハム・サーレフKRG前首相(PUK第2副書記長)と会談し,中央政府とKRG間の問題につき協議(14日付アダーラ紙,イッティハード紙)。
    ●「ア」首相は,新たに国防省の300名の高官を罷免(14日付ザマーン紙)。
    ●独立高等選挙委員会(IHEC)報道官は15日,44000名の署名を集めたバスラ県を「イクリーム」(地域の意)に格上げする要望書を受理した旨発表。IHECは今後同要望書の精査を開始する(16日付サバーハ・ジャディード紙)。

    2 外政
    (1)中央政府
    ●ジャアファリー外相はベラルーシ大統領と会談し2国間関係につき協議(11日付サバーハ紙)。
    ●「ジャ」外相は,国連の13回犯罪防止刑事司法委員会会議に出席するためカタールに到着(13日付サバーハ紙)。
    ●ジュブーリー国民議会議長は13日,ラリジャニ・イラン国会議長と電話会談し,近くトルコ国会議長を含めた三者による会談を行う旨発表(14日付イッティハード紙)。
    ●オバマ米大統領は,「ア」首相との会談にて,テロとの闘い及びISILに支配される地域の解放作戦におけるイラク政府の取組に対する完全なる支援を表明。また,更なる財政的,軍事的支援も行う意志を表明。さらに,2億ドル規模の追加人道支援をイラクに対し行う旨発表。「ア」首相はバイデン米副大統領とも会談し2国間関係につき協議(15日付当地各紙)。
    ●「ジャ」外相は,カタールにてアブドッラー首相及びアティーヤ外相を会談し,カタール大使館のバグダッド開設を要請(15日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●「ア」首相はケリー米国務長官とワシントンにて会談。2国間関係及びテロとの闘いにおける協力につき協議。ケリー米国務長官からは,イラクがISILを打倒する能力を有し,テロとの闘いにおける指導的役割を担うことへの期待が示された(16日付イッティハード紙)。
    ●「ア」首相とオベイディ国防相は,ワシントンにてカーター米国防長官と会談し,米からの軍事支援及び武器供与につき協議(16日イッティハード紙)。
    ●ジュブーリー国民議会議長は,トルコ国会議長と会談し,地域問題につき意見交換(16日イッティハード紙)。
    (2)KRG
    ●独副国防相は,バルザーニーKR大統領と会談。またエルビルにおけるペシュメルガ用軍事キャンプを視察(13日付サバーハ・ジャディード紙)。

    3 治安
    ●イラク治安部隊は,ファッルージャ市を包囲し,同市への地上作戦に向け準備(11日付サバーハ紙)。
    ●ジュブーリー国民議会議長は,モースル解放作戦において地元部族の戦闘への参加を要請(12日付サバーハ紙)。
    ●3つの警察部隊,対テロ特別部隊の2旅団が,ラマーディー地区に到着(12日付当地各紙)。
    ●ISILはモースル南部にて,アル・ジュブール部族員の300名を処刑(12日付当地各紙)
    ●ISILとの激しい戦闘の後,イラク治安部隊はベイジ製油所周辺地区の支配を回復(12日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●公的動員(PMU)の公式報道官カリーム・ヌーリーは12日,PMUは軍最高司令官である「ア」首相の指示に従うこと,アンバール県部族から内密に軍事支援の要請があったことを発表(13日付マダー紙)。
    ●ベイジ製油所付近にて,イラク治安部隊はISILからの襲撃を再び撃退(13日付マダー紙,イッティハード紙)。
    ●イラク治安部隊はアルボ・ファラジュ地区(ラマーディーから北部)における軍事作戦を開始(14日付当地各紙)。
    ●ISILはベイジ製油所に侵入し,施設領域の50%を支配した模様(15日付マダー紙,ザマーン紙)。
    ●イラク治安部隊は,アルボ・ファラジュ市への急襲を仕掛け,同市中心部を制圧(15日付ザマーン紙)。
    ●バルザーニーKR大統領は,モースルにおけるISILの存在は,KRにとっての脅威であり,ペシュメルガはモースルにおける戦闘に参加する旨表明(16日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●イラク治安部隊は,3方面よりベイジ市への侵攻を開始し,政府庁舎や同市南部の多くの地区を解放(16日付当地各紙)。
    ●イラク治安部隊は,ほぼ全てのベイジ製油所の区画を奪還し,130名のISIL要員を殺害(16日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●アンバール県議会は声明にて,公的動員(PMU)がアンバール県での軍事作戦に参加することを歓迎する旨表明(16日付マダー紙)。

    4 経済
    ●国民議会の経済投資委員会は10日,投資法の第3回改正法を提出することを発表(11日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●石油省はイラン国営ガス会社と3500万立方メートルの天然ガスを4月までにバグダッドとバスラに輸出する契約を締結(12日付サバーハ紙他)。
    ●石油省は,原油生産量が日量350万バレルを超えたと発表(13日付サバーハ紙)。
    ●IMFはイラクの成長率は1.3%に減少すると予測(15日付マダー紙)。
    ●アブドゥルマフディー石油大臣は,原油価格の低下を背景として,石油開発を行う国際石油企業に対して開発コストの削減を要請(16日サバーハ・ジャディード紙)。
  2. イラク情勢(4月18日〜25日:報道取りまとめ)

    4月18日〜25日におけるイラク情勢(内政,治安,外交,経済)に関する報道取りまとめ以下のとおり。

    1 内政
    【ポイント】
     内政及び治安情勢上の関心はアンバール奪還作戦に移っており,アバーディー首相やオバイディー国防相のみならず,政治各派間や公的動員勢力の指導者等も日々メディアに登場する等活発に動いている。
     国民議会では,政党法の新草案が議会に提出された以外は目立った動きはなく,国家警備隊創設法案も政治各派間の合意が得られず,未だ第二読が行われていない。

    ●18日,アバーディー首相は,ラマーディーにおけるISILとの戦闘のため,イラク軍増派部隊の派遣を指示。アーミリー・バドル機構事務局長は,バドル機構のアンバール解放作戦参加に関する首相命令を待っている旨発言。また,ハキームISCI議長は,ハズアリーAAH司令官と会談し,ISILからイラクを防衛するため,公的動員勢力を支援しなければならない旨発言(19日付サバーハ紙,サバーハ・ジャディード紙ほか)
    ●19日,国連はアンバール県からのIDPが9万人以上となった旨発表。(20日付イッティハード紙)
    ●21日,マージド・ガラウィー国民議会安全保障・国防委員会委員は,国家警備隊創設法案の議論が続いており,政治各派間の合意後に第2読が行われる旨発言。他方,アッバース・フザーイー同委員会委員は,安全保障・国防委員会はすでに同法案の議論を終えており,25日の週にも第2読が行われる旨発言。(22日付サバーハ・ジャディード紙ほか)
    ●22日,アミーン・バーキル国民議会法律委員会委員は,政党法案の新しい草案(注:同法案はすでに第一読を了している。)が大統領府を通じて国民議会に提出された旨明らかにした。新草案では,IHECがイラクの全政党の監督委員会となるとの規定が加えられた由。(23日付サバーハ・ジャディード紙)
    ●22日,KRG閣僚評議会は,憲法140条問題(係争地問題)を議論するため,クルド人国民議会議員及びイラク連邦政府と会合をもつことを決定。(23日付サバーハ・ジャディード紙)
    ●24日,国民議会は,6月7日から30日間休暇とすることを決定。(25日付サバーハ紙)
    ●24日,ナヒーダ・アル・ダイニー議員(イラク勢力連合)は,国家警備隊創設法案は未だ政治各派間で合意されていない,特に国民同盟は,同法が成立すればスンニー派が5万もの兵力を有することになり,これに反対している旨発言。(25日付マダー紙)

    2 外交
    【ポイント】
     引き続きイラク・トルコ関係及びイラク・サウジ関係の進展が見られるほか,カタールも近く在イラク大使館を再開する由。また,オースティン米中央軍司令官がバグダッド及びエルビルにおいて,アバーディー首相,オバイディー国防相及びネチルヴァンKRG首相と会談し,現在進行中の軍事作戦や今後想定されるモースル奪還作戦についても協議が行われた。

    ●20日,ジュブーリー国民議会議長,ムトラク副首相及びヌジャイフィー副大統領は,アンバール奪還作戦でのイラク軍への支援につきアブドッラー・ヨルダン国王と会談。(20日付イッティハード紙)
    ●20日,アバーディー首相は,オースティン米中央軍司令官と会談し,アンバールは(イラク軍の)コントロール下にあるが,イラクへの国際社会の支援の必要性を強調。(21日付サバーハ紙)
    ●20日,ジャアファリー外相はジャカルタにて開催のアジア・アフリカ会議に出席し,イラクとの情報及び安全保障分野における協力を要請。(21日付サバーハ紙)
    ●20日,クバシSRSGは,シスターニー師と会談し,IDP問題,軍事作戦及びイラクの民族・宗派の団結につき議論。(21日付アダーラ紙)
    ●21日,オバイディー国防相は,オースティン米中央軍司令官と会談し,治安情勢,アンバールにおける軍事作戦及びIDP問題につき協議。(22日付サバーハ紙)
    ●21日,ネチルヴァン・バルザーニーKRG首相は,オースティン米中央軍司令官と会談し,キルクーク,サラーハッディーン,アンバール及びニナワにおける戦闘や今後想定されるモースル奪還作戦につき協議。(22日付サバーハ紙)
    ●22日,マァスーム大統領はトルコを訪問し,エルドアン・トルコ大統領及びダーヴトオール同首相とそれぞれ会談。(23日付各紙)
    ●24日,マァスーム大統領はイスタンブールにて開催の平和サミットに出席し,テロとの闘いにおいて,全世界の人々が結束するよう要請。(25日付サバーハ・ジャディード紙)
    ●24日,ジャアファリー外相は,イラク・サウジ関係は大きな進展を見せており,在イラク・サウジ大使館再開に向けた準備が進んでいるほか,サウジはすでに駐イラク大使を決定した旨明らかにした。(25日付サバーハ紙ほか)
    ●24日,ジョーンズ駐イラク米大使は,先般のアバーディー首相の訪米は成功裏に終わり,イラクは今夏米国よりF16戦闘機を導入する旨発言。(25日付マダー紙)
    ●25日,マァスーム大統領は,エルドアン・トルコ大統領が近くバグダッドを訪問するほか,カタール外相が近く在イラク・カタール大使館を再開する旨明らかにした。(26日付サバーハ・ジャディード紙)

    3 経済
    【ポイント】
     石油省によると,直近でイラクの原油輸出量は一日約3百万バレルに達し,2015年度国家予算前提の輸出量である一日330万バレルに近づいている。併せて,イラク政府はIMFや世界銀行にも支援を求めており,財政難の軽減とともに,ISILから解放された地域の復興やIDP支援を図っている。
     
    ●18日,ズィーバーリー財務相及びアッラーク・イラク中央銀行総裁は,ワシントンで開催のIMF年次会合に出席した。(19日付サバーハ紙)
    ●19日,ニマ石油省次官は,直近でイラクの原油生産量が一日約350万バレルに達し,内,輸出量が一日約3百万バレルに達したと発表した。(20日付サバーハ紙)
    ●19日,ズィーバーリー財務相は,世界銀行のミルザ・ハッサン上級ダイレクターと協議し,世界銀行のイラクに対する資金支援を求め,投資プロジェクトに対する政府予算の補填や,IDP支援や解放地域の復興の必要性を訴えた。(20日付サバーハ・ジャディード紙)
    ●21日,ズィーバーリー財務相は,IMFと協議し,イラクに対する支援を求める一方で,イラク政府の一般歳出の削減というIMF要求に応じていくことに同意した。(22日付サバーハ・ジャディード紙)
    ●22日,アーデル・アブドゥルマフディー石油相は,梨田駐イラク日本大使と会談し,石油及びエネルギー分野における日本との協力関係を強化していく強い意向と期待感を表明した。(23日付サバーハ・アダーラ紙)
  3. イラク情勢(5月3日〜12日:報道取りまとめ)

    5月3日〜12日におけるイラク情勢(内政,治安,外交,経済)に関する報道取りまとめ以下のとおり。

    1 内政
    【ポイント】
     国民議会では,国家警備隊創設法案の第二読が実施されたものの,未だ政治各派間の合意形成には至っていない。
     スンニー派及びペシュメルガへの直接の武器支援を可能にする米の国防授権法改正案に対し,イラク分割を促進するものであるとして,シーア派を中心にイラク国内各派から反発の声が上がっている。イラク政府及び議会とも同改正案に反対する声明を発出。

    ●3日,国民議会は,米議会の国防授権法改正を拒否する声明を発出。(4日付アダーラ紙ほか)
    ●3日,ネチルヴァンKRG首相は,米議会の国防授権法改正案はイラクの主権及び統一性を標的としたものではない旨発言。(4日付サバーハ・ジャディード紙)
    ●8日,国民議会は,国家警備隊創設法案の第二読を開始。(9日付ザマーン紙ほか)
    ●(2016年国防授権法セクション1223案に関連し)イラク首相報道官は,イラク憲法上もいかなる軍事支援は中央政府の所管事項であり,ペシュメルガへの兵器供与もバグダッドを経由されるべきと指摘(12日付Sharpress)。
    ●オベイディ国防相は11日,ナジャフを訪問し,シスターニー師と会談。ISILとの戦闘におけるイラク治安部隊への支持を要請した(12日付Shafaq News)。

    2 外交
    【ポイント】
     マァスーム大統領は,近隣諸国ではサウジ,カタール,トルコに続き,イランを訪問。バルザーニーKR大統領は米を訪問し,米のクルド人に対する支援を改めて要請したほか,将来的なクルド独立につき米側と議論。

    (1)中央政府
    ●3日,アバーディー首相はバイデン米副大統領に対し,イラクは米議会の国防授権法改正案に反対する旨伝達。(4日付サバーハ紙)
    ●4日,ペーテル・ハンガリー外相がバグダッドを訪問し,マァスーム大統領,ムトラク副首相,ジャアファリー外相,オバイディー国防相等と会談。(5日付アダーラ紙)
    ●4日,プシッチ・クロアチア外相がバグダッドを訪問し,マァスーム大統領及びヌーリー女性問題担当国務相と会談。(5日付アダーラ紙)また5日にはエルビルを訪問し,ネチルヴァンKRG首相と会談(6日付サバーハ・ジャディード紙)。
    ●アバーディー首相は,二国間関係等につき協議するため,近くロシアを公式訪問する(10日付イラク・メディア・ネットワーク(IMN))。
    ●12日,マァスーム大統領は,就任後初のイラン訪問を開始。環境相,貿易相及び遺跡・観光相が同行する今回の訪問では,政治・経済・社会分野での二国間関係の強化,二国間貿易の拡大,対ISIL作戦における協力につき協議される(12日付NINA)。
    ●アバーディー首相は11日,田中JICA理事長と会談。同会談では,サービス部門,イラク人の人材育成,インフラ支援等の諸分野におけるイラクに対する支援での日本の役割に加え,イラクにおけるこれまでのJICAプロジェクト及び今後のプロジェクト計画につき協議された(12日付Sumaria)。

    (2)クルディスタン地域政府(KRG)
    ●6日,バルザーニーKR大統領は,米を訪問し,オバマ大統領及びバイデン副大統領と会談。米側より,米はKR及びクルド人への支援を改めて強調したほか,(イラク憲法で規定されている)統一された,連邦制度をとる,民主主義的なイラクのためのイラク米戦略枠組協定へのコミットを継続する旨強調。(7日付サバーハ・ジャディード紙ほか)
    ●7日,バルザーニーKR大統領は,カーター米国防長官と会談し,ISILとの闘いにつき議論。
    ●KR大統領府は10日付声明にて,バルザーニーKR大統領の訪米の際,遅滞のないペシュメルガへの兵器供与につき米国から保証を得た旨明らかにした(11日付Shafiq News)。
    ●「バ」大統領は10日,米訪問を終え,ハンガリー及びチェコへの欧州訪問を開始。

    3 治安
    【ポイント】
     サラーハッディーン県では,引き続きベイジ奪還作戦が継続。イラク軍側がベイジ製油所の大部分を制圧したとの報道もある。
     アンバール県では,カルマ地区,サルサール湖周辺及びラマ-ディーを中心にISILとの戦闘が継続。イラク軍側は増援部隊を準備する等,アンバール奪還に向けた動きが本格化している一方,ISIL側もラマーディーのアンバール県庁舎に攻勢を仕掛け,反撃している。

    ●4日,アーミリーPMU司令官は,PMUがアンバール県に入るために誰の許可も必要としない旨発言。(5日付イッティハード紙)
    ●内務省報道官は9日,バグダッド市北部のハーリス収容所で脱獄が発生し,30名の囚人に加え6名の監護官が死亡し,40名の囚人が脱獄に成功した旨発表(10日付AFP)。
    ●バグダッド・オペレーション・センター(BOC)は9日,イマーム・カーズィム殉教日に伴う10日〜14日までの期間,一部大型車やクルディスタン地域ナンバーを有する車両に対し夜間外出禁止例を発出(10日付)。

    4 経済
    【ポイント】
     KRを含めたイラク北部の原油を中心に,原油輸出量は伸びている。バグダッド-エルビルの原油輸出合意の履行については取扱い詳細を協議中であるが,量の確保という点では,KRGによる原油輸出量も合意の目標値である日量55万バレルに達するようになった。
     一方で,IMFや世界銀行による資金支援の協議も続いており,政府は財政難の解消を図りつつ,ISILから解放された地域の復興を図っている。

    ●3日,アディル・アブドゥルマフディー石油大臣は,4月の月間原油輸出量の速報値として,南部の港から7880万バレル,キルクーク等北部から1350万バレルを含めて,一ヶ月で計9280万バレルに達したと発表。
    ●5日,IMFの中東中央アジア局の担当理事は,イラクからの資金支援の要請を受けて現在,8億ドルの緊急融資を検討しており,イラク側と合意に向けて協議を進めると表明。
    ●8日,KRG天然資源庁は,KRGによる原油輸出量が4月は月間約1680万バレル,日量56.2万バレル(内訳は,KR約41.5万バレル,キルク-ク約14.4万バレル)に達したと発表。KRのパイプラインを通じてトルコのジェイハン港に出荷しており,輸出全量をイラク石油輸出公社(SOMO)に引き渡すとしている。
    ●10日,アブドゥルバースィト・トルキー復興基金事務局長は,サラハッディーン県および世界銀行の代表と,解放地域の復興について協議。橋,病院,その他のインフラ再構築について協議を行い,更に討議を進めるために後日再び協議を行う予定。

本ページ内容の引用・転記はお断りいたします。
また、内容の詳細については文中記載の原典をご参照ください。

to Top

15.04.04-09 現地各紙

4月4日〜4月9日におけるイラク情勢(内政,外政,治安,経済)に関する報道取りまとめ

1 内政
(1)中央政府
●アバーディー首相は、イラク治安部隊に対し、ティクリートでの勝利を歪めようとする者及びサラーハッディーン県における解放地区にて蛮行を働く暴徒を拘束するよう命令(4日付当地各紙)。
●(いわゆる非バアス化法案等に関する議論を行う)「責任と公正委員会」委員長は、バアス党員全体の80%の規模に該当する33000名の旧バアス党員がイラク政府関係機関で現在就労しており、目下の議論の焦点は残り3000名の同党幹部の扱いとなっている旨発表(4日付マダー紙)。
●ナジャフの宗教権威アブドゥル・マフディー・カルバラーイは3日の金曜礼拝におけるスピーチの中で、ティクリートでの勝利を賞賛。対ISIL作戦を行うイラク軍及び公的動員勢力(PMU)が、他の地区においても勝利を挙げることに期待を表明。また戦闘に参加するものに対し、市民の権利及び所有物を保護することを呼びかけた(4日付マダー紙、サバーハ・ジャディード紙)。
●ジュブーリー国民議会議長はナジャフにてムクタダー・サドル師と会談。「ジュ」議長からは、イラク市民統一を支持するサドル師に対する謝意が伝えられ、またティクリートでの略奪等の犯罪の発生は認めつつも、それはPMUのイメージを害そうとする一部の暴徒による行為であると非難。
 一方、サドル師からは、次の諸点につき発言。ティクリート市民の帰還させること及び宗派主義や略奪行為を停止させることの重要性を指摘、いかなる諸外国からのイラクに対する干渉への拒絶、政党のアフラ-ル、ワタニーヤ、イラク勢力連合(IFA)の政党連合の可能性、イランとサウジの和解の要請、イエメン問題の混乱がイラクに派生することへの懸念(6日付当地各紙)。
●首相、大統領、国民議会議長は5日、最新情勢につき3者協議を実施(6日付サバーハ紙)。
●「ア」首相は6日、バルザーニーKR大統領との共同記者会見にて、ニナワ県からISILを駆逐するために、同県における住民との協力を進める旨表明。また先に合意された原油取引合意に関しても連邦政府とKRG双方がそれを遵守し行動する旨主張。
●首相、大統領、国民議会議長の3者は、アンバール県部族への武器供与計画を承認。また、国内避難民支援のための国際会議をバグダッドにて開催する方向で準備を開始(7日付当地各紙)。
●7日の閣議決定は、全省庁及び政府機関に対し、公的動員機構を首相府に直結した公的機構として扱うよう命じた。又軍最高司令官である首相が、公的動員の指揮系統を担うと定めた(8日付当地各紙)。
●「ア」首相は首相令を発出し、国防省及び内務省の13名の司令官を解任(9日付ザマーン紙)。
(2)クルディスタン地域政府(KRG)
●バルザーニー大統領は「ア」首相と電話会談し、ティクリートでの軍事作戦の勝利に対する祝意を表明(5日付マダー紙)。

2 外政
(1)中央政府
●露大統領特使がバグダッドを訪問し、「ア」首相及びジャアファリー外相と会談。「ア」首相との会談では、プーチン大統領からの訪ロを要請する親書を手交した模様(4日付マダー紙、サバーハ・ジャディード紙)。
●イラク首相府は声明にて、イランと欧州による核合意を歓迎し、同交渉が最終合意に至ることへの期待を表明。また中東地域が非核地域となること、及び隣国であるイランに対する経済制裁が解除されることに対する期待を表明(5日付サバーハ紙、ザマーン紙等)。
●マァスーム大統領は、イランと欧州による核合意を偉大な成果と評価(6日付イッティハード紙)。
●ジュブーリー国民議会議長は、モスクワにて露国会議長と会談し、2国間議会の協力の強化に関する覚書に署名(8日付サバーハ紙)。
(2)KRG
●バルザーニーKR大統領は3日、米共和党議員団の表敬を受け、米国によるテロとの戦いにおける支援に対し謝意を表明。一方米側より、現在米議会で審議されるKRGに対する兵器供与に関する法案及び米国のKRGへの支持の継続に付き説明がなされた(4日付マダー紙)。

3 治安
●ノルウェー国防省はペシュメルガへの軍事訓練のため軍事顧問50名をイラクに派遣することを決定(4日付サバーハ・ジャディード紙)。
●イラク治安部隊は、ベイジ(サラーハッディーン県の都市。ティクリート市北北西)に向けて進軍を準備(4日付サバーハ・ジャディード紙)
●PMUが郊外に撤退後、連邦警察とティクリート市警察はティクリート市内における治安対策を担っている模様(5日付当地各紙)。
●ペシュメルガとPMUは、ハウィージャ(キルクーク県。キルクーク市西方)におけるISIL拠点襲撃の準備を進める(5日付サバーハ・ジャディード紙)。
●5日、ベイジ地区への地上作戦開始のためのと思われる有志連合による激しい空爆が行わわれた模様(6日付イッティハード紙)。
●イラク治安部隊は、ティクリート市内の大統領宮殿にて、スパイカー事件犠牲者と思われる多数の集団遺体を発見(6日付イッティハード紙)。
●ベイジ地区近郊における空爆により、数十名のISIL要員が死亡(7日付サバーハ・ジャディード紙)。
●サラーハッディーン県知事は、イラク治安部隊がシャルカートに向けた進軍の準備を開始した旨発表(8日付ザマーン紙)。
●「ア」首相は8日、ハッバーニーヤ基地での記者会見にて、ISILにより支配される残りすべての地区も解放されるとし、次な目的はアンバール県になると表明(9日付当地各紙)。
●ISILは227名のヤズィーディ教徒の人質を解放。ペシュメルガが彼らをキルクーク南部にて受け入れた模様(9日付イッティハード紙)。
●アンバール県議会議長は8日、アンバール県における軍事作戦の開始を宣言。国防省はアンバール県部族に対し兵器供与を開始(9日付当地紙各紙)。

4 経済
●北部石油公社は,キルクーク油田からジハン港を経由した原油輸出は日量15万バレルで安定していると述べた。また,ズィーバーリー財相は,3月にKRは455百万ドルの予算割り当てを(連邦政府から)受け取ったと述べた(4日付サバーハ・ジャディード紙)。
●2日,パリで仏・イラク経済フォーラムが開催された。シャーウィース・イラク副首相(経済担当),仏の観光大臣,外国貿易大臣等のほか,両国のビジネスマンが多数参加した(4日付マダー紙)。
●ファルハード閣僚評議会次長は,ISILの支配からの解放地域の復興及び国内避難民(IDP)の右地域への帰還について協議するための国際会議を,バグダッドで開催するため準備を進めている旨発表。また,同次長は,アバーディー首相の訪米時に米国が200百万米ドルの対イラク無償資金協力を発表する旨述べた(8日付当地サバーハ紙)。
●ズィーバーリー財相は,イラク財政への緊急支援のためにIMFとの交渉が進んでいる旨述べた(8日付イッティハード紙)。

本ページ内容の引用・転記はお断りいたします。
また、内容の詳細については文中記載の原典をご参照ください。

to Top